図書券が図書カードへと「統合」

廃止じゃなくって？

以前は「図書券」(全国共通図書券)と「図書カード」(全国共通図書カード)が並行して販売されていましたが、2005年9月30日をもって、図書券の販売が終了となりました。なお、図書券の使用(図書券による書籍・雑誌の購入)はこれまで通り可能です。
が、なぜか日本図書普及株式会社は「統合」という表現を使っています。なぜ「図書券廃止」とか「図書券終了」ではなく、「図書カードに統合」「一本化」という表現なのかはわかりません。教えて、エロい人！以下は日本図書普及株式会社のウェブサイト上でのお知らせです。
「全国共通図書券」をご利用のお客様にお知らせ
2005年9月をもちまして図書券の発行を終了いたしました。平素は、全国共通図書券・図書カードをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
さて、長い間「本の贈りもの」として皆様にご利用いただいてまいりました「全国共通図書券」ですが、今年10月1日より、全国での販売を「全国共通図書カード」へと統合させていただくことになりました。(図書券の発行は終了させていただきます。)
これまで、贈りものに図書券をご愛用いただきましたお客様には、引き続き「全国共通図書カード」をご利用いただけますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
(中略)
ご安心ください ◆お手持ちの図書券は2005年10月以降も期限なく、全国の加盟書店でご使用いただけます。
(以下略)

「図書券」(全国共通図書券)とは

1960年12月: 発行開始。当時は20円券×15, 25, 50枚綴りの3種類。(図書券ギャラリーに写真あり。おすすめ！)
1976年12月: 現在の綴りではない商品券スタイルに。500円券と100円券の2種類。
1995年12月: 100円券の発行が終了。
2005年9月30日: 500円券の発行が終了。
お釣りについては明確なルールはないが、一般に出す書店が多い。なお、「全国図書普及新聞」(1992年6月24日号)では、現金でお釣りを出すことを推奨している。
金券ショップでの流通価格は97%～98%前後(2008年8月現在)。

「図書カード」(全国共通図書カード)とは

1990年12月: 発行開始。
プリペイドカードなのでお釣りは存在しない。(使った分だけ残高が減る。)
金券ショップでの流通価格は95.2%～97%前後(2008年8月現在)。

図書券と図書カードはどちらがお得か

金券ショップではどちらを買うとお得かをここでは検討します。
以下の前提条件で比較をします。
- 図書券・図書カードともに97%(500円券は485円)とする。
- 図書券にはお釣りが出るものとする。

結果は以下の通りです。お釣りのない、きりのいい金額の場合は図書券でも図書カードでも同じですが、お釣りが発生する金額の場合には図書券が有利です。お釣りが多く発生する金額の場合には特に図書券が有利です。

本の代金	図書券の場合	図書カードの場合
300円	280円 =485円(図書券500円)×1枚-お釣り200円	291円相当 =300円×97%
500円	485円 =485円(図書券500円)×1枚	485円相当 =500円×97%
510円	480円 =485円(図書券500円)×2枚-お釣り490円	494.7円相当 =510円×97%
1,000円	970円 =485円(図書券500円)×2枚	970円相当 =1,000円×97%
1,010円	965円 =485円(図書券500円)×3枚-お釣り490円	979.7円相当 =1,010円×97%
1,100円	1,055円 =485円(図書券500円)×3枚-お釣り400円	1,067円相当 =1,100円×97%
2,000円	1,940円 =485円(図書券500円)×4枚	1,940円相当 =2,000円×97%
2,010円	1,935円 =485円(図書券500円)×5枚-お釣り490円	1,949.7円相当 =2,010円×97%
2,100円	2,025円 =485円(図書券500円)×5枚-お釣り400円	2,037円相当 =2,100円×97%

これに加えて、図書カードの場合、カードリーダーに通して減算処理を行うため、以下の点で不便です。
- 「図書カードの破損、カード読取り機の故障、停電等により、加盟店で、図書カードの電磁記録を読取ることができないとき。」には図書カードは使えません。 (図書カード利用約款　第3条)
- ほとんどの書店にはカードリーダーが配置されていることにはなっていますが、すべてのレジにあるわけではありませんので、会計のときに待たされる可能性があります。
- カードリーダーで1枚ずつ処理をするため、複数の図書カードを使う場合には時間がかかります。
- なお、「毎日中学生新聞」(2005年9月1日付)によると、カードリーダーは1台約7万円もするそうです。
  図書券を発行する民間会社「日本図書普及」が一本化を決めたのは「500円の１種類しかない図書券よりも、1万～500円の6種類あるカードのほうが使いやすく、企業などの広告カードとしても使ってもらえる」という理由からだ。図書券は1960年に、図書カードは90年に始まり、昨年度の発行額はそれぞれ480億円、230億円。全国の書店約1万5000店のうち、カードの利用に必要な読み取り機があるのは1万1200店。1台目は日本図書普及がただで貸してくれるが、2台目からは約7万円かかる。

図書券廃止に関する一考察

「金券ショップで図書券」「お釣りでさらにお得」のおかげで書店が損をしているというのは事実でしょう。
だからといって「読みとりに専用端末が必要で時間がかかる」「カードだけでは残高がわからない」「書店には専用端末が必要」「停電したら使えない」図書カードが解決になるかというと大いに疑問です。
お釣りが問題なら「お釣りは一切出さない」あるいは「購入額1,000円未満の場合はお釣りを出さない」といった規則を決めればよいのではないかと思います。お釣りについてのルールがなく、一部の書店ではトラブルがなんて記事もウェブ上で見ましたが、「だったら規則を決めて相応の手段で告知すればいいじゃんか」と思います。
「図書券よりも図書カードがスタイリッシュで素敵！」「企業向けなどのオーダーメイドも！」というのなら「ミュージックギフトカード」やマクドナルドの「マックカード」のように「見た目はプリペイドカードだけどただの紙(実態は商品券)」にすればよかったのではと思います。これなら専用端末は不要ですし、会計もスムーズです。
図書券廃止の原因は何だったのかはわかりませんが、磁気カード化というのは書店のメリットも薄いような気がします。複数枚使われると後の客から「さっさと会計しろや、ゴルァ(ﾟДﾟ)！」と怒られそうな気もいたします。
と、いうことで、もちろん金券ショップでの店頭価格にもよりますが、金券ショップでお買い求めになる場合には図書カードよりも図書券をおすすめします。金券ショップでの価格は図書券のほうが高くても、最終的にはお釣りで図書券のほうが得になることもあります。

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